2022年のカンファレンス・シーンを振り返る
カンファレンスは、いつも刺激に溢れています。2022年も多数のカンファレンスを通じて、パネルディスカッションやプレゼンテーションの機会に恵まれました。自らのプレゼンテーションを通じて過去のリサーチ成果を発信するだけでなく、カンファレンス・チェアやパネル・モデレータの役割は、業界ソートリーダーとのインプロビゼーションであり、将来のリサーチトピックスやインサイトテーマを仕込む貴重な瞬間です。様々なかたちで人が出会い、意見を交換し、議論を深める。そのための準備と当日の緊張感は、アナリストの責務であり、醍醐味でもあります。
ポストパンデミックの時代、カンファレンス・シーンはハイブリッド(オンラインと会場参加型の併用)が常態となりました。ウェビナー形式の業界団体やメディア、ベンダー主催のイベントもすっかり定着し、今年も、セレントのイノベーション&インサイト(I&I)ウィークはデジタルフォーマットで実施しました。こうしたカンファレンスのデジタルトランスフォーメーション(DX化)は、Webスクリーンを通じた不特定多数の人的交流を日常化するとともに、オンデマンドでのデジタルコンテンツの流通を加速しています。また、会場参加型のイベントでは多くの業界関係者様との再会を祝し、リアルの世界の有難さを再発見しました。
年頭に際して、2022年のカンファレンスとウェビナーを振り返ります。銀行、保険、証券、ウェルスマネジメント、そしてリスクマネジメントの各業界の議論に共通したキーワードは、顧客エクスペリエンス、デジタルトランスフォーメーション、データとアナリティクス、レガシーとエコシステムの現代化、そしてイノベーションの実践でした。
WATERSウェビナー: 資本市場業務におけるコスト効率とレジリエンスの実現|2022/1/25
2022年のカンファレンスは、資本市場の議論で開始しました。キャピタルマーケッツ・ウェビナーで基調講演を提供し、東京市場のソートリーダーと共に、コスト効率とレジリエンス技術戦略に関するパネルディスカッションのモデレーターも務めました。
Waterstechnologyはキャピタルマーケッツにおける最新のトレンドやニュース速報を伝えるメディア。その調査記事やイベントを通じて発信されるインサイトは、世界中の技術やデータの専門家に大きな影響を与えています。セレントは同社のグローバルアドバイザリーボードの一員としてその活動をサポートしています。
基調講演では、バイサイドのビジネスとテクノロジートレンドにハイライトして、「エンドツーエンドの運用モデル革新がオペレーション効率とアルファ創出を導く」ことの重要性を強調しました。また、パネルディスカッションでは以下のテーマで日本の資本市場の現在位置を議論しました。
- 現在のペインポイントと獲得したいレジリエンス|コスト、脆弱性、レガシー、リソース、拡張性、オペレーションモデル、組織と体制、ステークホルダー、そしてベンダー・パートナー
- 市場や規制の変化に先んじて対応するためのオペレーション改革のテーマ| 経済性とスケーラビリティの両立、データドリブンなアーキテクチャ、顧客中心主義、ミドル/ バックオフィスの可視化、レポーティングのプロフィット化、アジャイルなITに組織を合わせるための方策
- イノベーションをいつ、どこから、どうやって実現するか| フロント・ツー・バック統合、エンタープライズ・データ管理(EDM/ IBOR)、オープン・プラットフォーム、ユーティリティ・サービス、クラウドネーティブなキャピタルマーケッツへ
テクノロジートレンド・プレバイザリー: 新日本語ウェビナーシリーズ|2022/1/25~2/18
本レポート及びウェビナーは、2022年に向けた金融ビジネスの主要テーマと金融テクノロジーの優先課題について、セレントアナリストによるガイダンスと対応策の議論です。この新レポートシリーズ「プレバイザリー(Previsory: Pre-viewとAd-visoryを組み合わせた造語)シリーズ」ではその要諦を日本語で解説しました。
2022年、このリサーチには共通のテーマがあり、それは「顧客エンゲージメント(Customer Engagement:顧客との関係性の構築)」の重要性でした。優れた顧客エンゲージメントを支える4つの共通テーマは、1) テクノロジー・トランスフォーメーション・ツールキット、2) 従業員/ エージェント/ アドバイザーのエンパワーメント、3) エコシステムとパートナーシップ、そして4) AI/ データ/ アナリティクスでした。その実現のためのテクノロジーは、2022年を通じてセレントリサーチの最重要テーマとなりました。
オンデマンドでの視聴はこちらから:
- Part 1. リテールバンキング https://www.celent.com/ja/insights/762079016
- Part 2. コーポレートバンキング https://www.celent.com/ja/insights/672815470
- Part 3. 損害保険 https://www.celent.com/ja/insights/479928389
- Part 4. 生命保険 https://www.celent.com/ja/insights/240476654
- Part 5. キャピタルマーケッツ https://www.celent.com/ja/insights/136783237
- Part 6. ウェルスマネジメント https://www.celent.com/ja/insights/997997412
- Part 7. リスク管理 https://www.celent.com/ja/insights/721368903
モデルアワードプログラム2022: 繁栄へのギアチェンジ|2022/4/11~7/18
2022年、セレントの「イノベーション&インサイト(I&I)」イベントは16年目を迎えました。
このイベントは、「モデルアワードプログラム」を通じて銀行、保険、ウェルスマネジメント、キャピタルマーケッツ、リスク & コンプライアンスなど、金融サービスにおける優れたテクノロジー活用事例を発掘、表彰するものです。
2022年は3月15日から17日までの3日間、バーチャルサミットを開催し、ライブプレゼンテーション、モデルアワード受賞プロジェクトの発表、受賞者のケーススタディビデオ、ファイアーサイドチャット、ブレイクアウトセッションなどを実施しました。I&I Week 2022を成功に導いたのは、アワードプログラムへの応募者、受賞者、イベントスポンサー、プレゼンター、そしてイベントにご参加いただいた皆様です。
イベント終了後も、イノベーション&インサイト・ウィークのプラットフォーム「ハブページ」を通じて、多数のデジタルコンテンツを公開しました。このウェビナーシリーズはその日本語でのサマリーと解説です。インタビューやライブセッションのリプレイ、アワード受賞者の革新的な導入事例を紹介したビデオ、ケーススタディレポートへのリンクなどをご紹介しました。
プログラム概要と業界動向、受賞企業の取り組みは、こちらの日本語ウェビナーから視聴下さい。
- 基調講演 ― 繁栄へのギアチェンジ
- PART 1 ― ウェルスマネジメントプログラム
- PART 2 ― リスクマネジメントプログラム
- PART 3 ― 銀行プログラム | #1 コーポレートバンキング
- PART 3 ― 銀行プログラム | #2 ペイメントとオープンエコシステム
- PART 3 ― 銀行プログラム | #3 リテールバンキング
- PART 4 ― 保険プログラム | #1 データ/ アナリティクスとAI、デジタル/ エマージングテクノロジー
- PART 4 ― 保険プログラム | #2 顧客エクスペリエンスのトランスフォーメーション、イノベーションの実践
- PART 4 ― 保険プログラム | #3 レガシー/ エコシステムのトランスフォーメーション、モデルインシュアラー・オブ・ザ・イヤー
- PART 5 ― キャピタルマーケッツプログラム
AIRbanc: バンカシュアランスと代替チャネルに関するアジア保険会議|2022/5/17-18
AIRbancは、Asia Insurance Review (AIR) のカンファレンスのなかで最も長い歴史を持つ国際会議です。これまで、シンガポールを中心にアジアの主要都市で開催され、保険、ブローカー、エージェント、銀行、そして金融ITベンダーが毎年100名以上参加しています。カンファレンスの名称通り、保険販売における代替チャネル活用が主題ですが、近年はM&Aを含む制度や商品設計、そこにおけるテクノロジーの活用が議題となっています。
例年、グローバル保険のアジア子会社を中心に先進事例の発表、成長著しいアジア新興国における新テクノロジーを活用した販売チャネルの現代化動向とその戦略討議は、保険と銀行、そして金融IT業界の大きな注目を集めてきました。セレントは、長年にわたりナレッジパートナーとして貢献してきました。(2018年マニラ、2017年ジャカルタ、2016年ジャカルタ)
オンラインで開催された2022年のカンファレンスの主題は、”Who leads bancassurance today: Customer, Banks, Insurers or Digital?” でした。保険と銀行業界のコラボレーション、マイクロインシュアランスの拡大、そしてテクノロジーの活用が主題でした。アナリティクスやAI、RPAや自動化、Fintech やInsurtechなど、成熟度の異なる各地の社会経済環境の中で驚異的な成長を遂げるアジアの金融業界・保険業界の成長戦略を議論しました。
TFITS2022: 東京金融情報/テクノロジーサミット(オンライン/ 会場参加型)|2022/6/16, 6/29
東京金融情報&技術サミットは、金融機関のIT、データおよび営業担当エグゼクティブが一堂に会する、日本では唯一のイベントです。セレントは今年も、主催者WatersTechnology社のナレッジパートナーとして、会議アジェンダの設定、パネルディスカッションの運営などのコンテンツサポートをしました。
2022年の本カンファレンスはハイブリッド。オンラインでの開催に加え、3年振りの会場参加型のイベントでは、多くの業界関係者の皆様との再会を祝しました。アジェンダは以下の重要テーマを含み、ITおよびデータ管理を担当するエグゼクティブ、ソートリーダーをパネリストに迎え、データとテクノロジーが革新する日本の金融業界の未来を議論しました。
- テクノロジーリーダーのスポットライト:ITとビジネスのグローバルトレンドとユースケース
- データリーダーのスポットライト:バイサイドのデータ・アナリティクスとAI/ ML
- 投資家のスポットライト:投資意思決定とプロセスの自動化
- トレーディング・パネル:オペレーションのアルファの創出―変化への対応力とコスト効率を両立するには?
- リモートワークと新しいオペレーションモデル
- テクノロジーのクラウド移行:レガシーシステムの何を継続すべきか?
セレントは基調講演に加えて、パネルディスカッションにおけるモデレーターを務めました。
パネルの概要はこちらから:
- Part 1 | テクノロジーリーダーのスポットライト
- Part 2 | キャピタルマーケッツにおけるオペレーショナル・アルファへの取り組み
- Part 3 | クラウドへの移行:レガシーシステムの何を継続すべきか?
日経クロステック EXPO 2022: 電子インボイス―企業=銀行間接続が加速するコーポレートバンキングの革新|2022/10/14
日経FinTechはテクノロジーの潮流から金融の未来を読み解くメディア。
セレントは、2016年の創刊当時から、「FinTech世界年鑑」に多くのコンテンツを提供してきました。日経BP社は、新しい市場や業界が立ち上がるときにいち早くそこに「旗」を立てるメディアを創刊しています。旗を立てることで、人や情報がそこに集まり、市場が活性化します。「日経FinTech」もまさに、フィンテック市場が夜明けを迎えようとするタイミングに船出したメディアです。
「日経クロステック EXPO 2022」は、日経FinTechを含む日経BP社のクロステックイベント。セレントは、特別セミナー「やらなきゃいけないバックオフィス業務DX」において、基調講演「電子インボイス―企業=銀行間接続が加速するコーポレートバンキングの革新」を提供しました。
基調講演の概要はこちらから: