キャピタルマーケッツにおけるオペレーショナル・アルファへの取り組み
2022/07/18
Eiichiro Yanagawa
東京金融情報/ テクノロジーサミットを振り返り:Part 2
東京金融情報/ テクノロジーサミットは、金融機関のIT、データおよび営業担当エグゼクティブが一堂に会する、日本では唯一のイベントである。本年の会議アジェンダは以下の重要テーマを含み、ITおよびデータ管理を担当するエグゼクティブ、ソートリーダーをパネリストに迎え、データとテクノロジーが革新する日本の金融業界の未来を議論した。
- テクノロジーリーダーのスポットライト:ITとビジネスのグローバルトレンドとユースケース
- データリーダーのスポットライト:バイサイドのデータ・アナリティクスとAI/ ML
- 投資家のスポットライト:投資意思決定とプロセスの自動化
- トレーディング・パネル:オペレーションのアルファの創出―変化への対応力とコスト効率を両立するには?
- リモートワークと新しいオペレーションモデル
- テクノロジーのクラウド移行:レガシーシステムの何を継続すべきか?
セレントは、4つのパネルディスカッションにおいてモデレーターを務めた。
キャピタルマーケッツにおけるオペレーショナル・アルファへの取り組み
パネリスト
- 宇都宮 研 氏 | みずほ証券 事務グループ副グループ長兼グローバル副オペレーションヘッド
- 永堀 真 氏 | フィリップ証券株式会社 代表取締役社長
- Mihai Bistriteanu 氏 | SBI証券 Head of Securities Lending and Financing Department
- 林 保明 氏 | TORSTONE TECHNOLOGY 日本代表
今年のTFITSインパーソン・カンファレンスで唯一の、トレーディングにフォーカスしたパネルは、東京キャピタルマーケッツを熟知した4人のソートリーダーを迎え、資本市場における経済性と効率の追求の優先事項、レジリエンスとスケーラビリティ達成のための方法論、そしてデータ駆動型アーキテクチャへの取り組みに関して、フロント/ ミドル/ バックのシステム部門、業務部門のイニシアチブと課題、テクノロジーの可能性について議論した。
パネルアジェンダ
- 経済性と効率を追求する上で、フロントオフィスからバックオフィスに至る優先項目は何か?
- レジリエンスとスケーラビリティを達成する上で、テクノロジーの役割は何か?
- データ駆動型アーキテクチャは、データとテクノロジーの利用を最適化するか?
パネルの冒頭で、セレントは資本市場テクノロジーのグローバル動向を報告した。
モデレーター・キーノート:「キャピタルマーケッツにおけるオペレーショナル・アルファへの取り組み:変化への対応力とコスト効率を両立する」
1. 何故今、変化への対応力とコスト効率が重要か?
- 経済性と効率性を追求するバイサイドの今
- 資本市場のオペレーション効率を実現するクラウドを待望
- ハイブリッドなフロント・ツー・バックのテクノロジー、マネージドサービス、アウトソーシング
2. オペレーショナル・アルファへの取り組みと戦略:エンド・ツー・エンドで運用環境を見直す
- オペレーション効率とアルファ創出能力を支える戦略的なテクノロジーアプローチ
- APIによるプロセス統合とデータ・イネーブルメント・レイヤーの構築
- コストとオペレーション効率の改善のためのロードマップを作成する
この基調講演では、フロントオフィスにおける「データ・イネーブルメント・レイヤー」の重要性を強調した。それは統一されたデータアーキテクチャとデータの有効活用を可能とする仕掛け、フロントオフィスのためのエンタプライズ・データ管理の拡張である。
- フロントオフィスでは、付加価値の高いデータ、代替データ(衛星データ、ソーシャルデータ、企業公開資料など)、ビッグデータ・インフラを利用して投資アイデアを生み出し、そのアイデアの一部を迅速に仮説検証できるようにする技術投資に大きな関心が集まっている。
- 市場参加者は、どのユースケースが最も優先度が高く、フロントオフィス構成員にとって成功とはどのようなものかを明確にする必要がある。企業のデータ戦略やフロント・トゥ・バック・アプローチとともに、フロントオフィスのデータアーキテクチャを具体的に検討することが重要。
- アプリケーション・アーキテクチャをモジュール化し、最新の標準インターフェースと切り離すことで、機能の代替や利用を容易にすることが出来る。最新のAPI(ウェブベース、マイクロサービス)は、テクノロジー・アプリケーション間でよりダイナミックな相互運用性とデータ交換を可能にし、統合コストを削減している。これにより、包括的な「フロントツーバック」のコア投資インフラを持っていても、統合された「ベストオブブリードアプリ」を取り入れることが可能となる。