FINOLAB
FINOLABを訪問しました。FINOLAB(The FinTech Center of Tokyo FINOLAB)は、2016年2月、東京銀行協会ビルに開設されたフィンテック企業のためのインキュベーションオフィス。スタートアップの創業・成長を支援し、企業や投資家などへのプレゼンテーションやマッチングの拠点となるべく、複数企業(*1) のスポンサーシップにより開設されました。
眺望の素晴らしさに、ロンドンのLevel39(*2) を思い浮かべたのは、私だけではないと思います。和田倉噴水公園のモニュメントや大噴水が眼下に広がり、桜田巽櫓から皇居外苑を一望。その先には、日本の中枢、霞が関が展望されます。見通しの良さは、イノベーションに不可欠な要素。バーチャル空間だけでなく、フィジカルなロケーションも、つながるためにはとても重要な要素です。
「『日本に世界最高の金融イノベーションが生まれる土壌、環境、エコシステムを創ろう』。その熱い想いに賛同する有望フィンテックスタートアップやステークホルダーが集い、イノベーションを創発し、エコシステムをつなげる場が、FINOLABです。」FINOVATORSのファウンダーで、FINOLABの運営に携わるISIDの伊藤千恵氏はこう語りました。日本の金融の中心地「大手町」に誕生したこのスペースは、日本のフィンテックシーンの今を象徴するものと感じました。
当日は、すでにFINOLABに入居し、その住所に法人登記するリキッドの鶴岡章氏から、同社の取り組みも拝聴しました。同社は、次世代の生体認証検索エンジンを中核に、クレジットカードレス、ポイントカードレスを実現する決済サービス「Liquid」を提供しています。Liquidリーダー(指紋リーダー)を、USBポート経由でレジPOSに加えることで、指紋決済を可能とします。
従来、指紋認証は指紋の突合に要する時間がボトルネックでしたが、同社のテクノロジーは、その高速化に成功しました。日本の生体認証は、『本人確認』から『本人特定』する技術へ進化しました。次に期待される分野は、画像処理と大規模データ処理を通じた、識別対象の拡大です。その技術とサービスの全てをクラウドで提供するリキッドの取り組みに、個人認証といった金融サービスにおいて極めてプリミティブな領域を、大胆に、そして繊細に融解してゆく可能性を感じました。
(*1) FINOLABは、三菱地所(株)、(株)電通、(株)電通国際情報サービス(ISID)による3社協業事業。その運営は(社)金融革新同友会FINOVATORS が協力し、ウェブサイトFINOLAB.jp はFINOLAB事業の一環として、(株)電通、(株)電通国際情報サービスが運営している。http://finovators.org/ http://finolab.jp/
(*2) Level39はロンドンの新金融街Canary Wharf にある、フィンテックアクセラレータ拠点。2013年に開設当時の雰囲気は、セレント証券ブログに言及されている。http://www.level39.co/ http://bit.ly/1oLjby7