セレント イノベーションフォーラム「デジタル金融サービスへの取り組み」を振り返って(その1)
セレントは、2月の「ラウンドテーブル:Making Innovation Happen」、6月の「イノベーション&インサイト・デー」に引き続き、10月17日、「イノベーションフォーラム」を開催した。
本稿では、本イベントの要諦を2回に分けて報告する。
基調講演①「世界のバンキングのイノベーション最新動向」
消費者の経験や期待、経済状況の悪化や好転、規制と競争環境の激変といった外圧が、既存の圧力(収益拡大、コスト削減)を増幅し、取り巻くエコシステムの変化を促している現況を背景に、「銀行業界、金融業界は、チャネルやアーキテクチャの変化、そしてイノベーションを通じて、ビジネスモデルを修正する必要がある」とのキー・メッセージを発信した。
セレントの提唱するデジタル&オムニチャネルのフレームワーク、バンキングテクノロジーを巡る3つのテーマ
①デジタル&オムニチャネル
②イノベーション&エマージングテクノロジー
③レガシー&エコシステムマイグレーション
に従って、グローバルな事例を紹介した。Apple Payやビットコインなど最新テクノロジーの動向にも触れた上で、セレントの考えるクリエイティブ・ディスラプション(創造的で、破壊的な影響力を持つ変革)の枠組みを用いたイノベーションの重要性を説いた。
図 1 デジタル / オムニチャネルのフレームワーク
出典:セレント
基調講演②「日本の金融業界におけるデジタル&オムニチャネルバンキングの取り組み」
日本の金融サービス業界がイノベーションに向けて現在どのような取り組みを行っているか、以下の4つの枠組みで俯瞰した。
① 現金、クレジットカード、デビットカードと言った、トラディショナルな決済手段
② 電子マネーとプリペイドカードに代表される、第二世代の決済手段
③ 隆盛を極める、電子商取引に付随した決済サービス
④ 以上3区分を横断するオムニチャネルサポート
その中で共通する事項として浮かびあがったのは、「デジタル技術の普及と活用、エコシステムの形成とオープンイノベーションの進展が、イノベーションの成功の鍵を握る」という点であった。
中でも、速やかに、躊躇なく取り組むべきポイントとして以下の5つを挙げた。
①カード決済情報のマルチビューとコントロール
②カード決済サービスを活用した付加価値提供
③リアルタイム取引アラート
④取引実績データのアナリティクスに基づくアドバイザリーサービス
⑤ソシャルメディアとのインテグレーション
図 2 日本のリテールペイメント市場における主要決済手段の区分
出典:セレント