バンキングソリューションの開発パラダイムでは、「購入か、構築か」で議論になる傾向がある。しかし、テクノロジーアーキテクチャが急速に変化している今、「購入のみ」という選択肢は存在しない。差別化されたエクスペリエンスを提供するためには、あらゆる場面で何かしらを構築する必要がある。最小限の構築としては、ベンダーのアプリケーションから銀行のアプリケーションへの統合といったものがあるが、マイクロサービスの世界では、ベンダーと銀行の機能を組み合わせた複合サービスの提供が可能になりつつある。バンキング業務を最新化する上で鍵となるアーキテクチャのトレンドは以下のとおり。
•クラウドのバリュープロポジションはコストベースからバリューベースに移行している。
•データ戦略とデータプラットフォームの機能は以前よりも重要な役割を果たすようになっており、これには、バンキングプラットフォーム全体でのAIの有効化も含まれている。
•セキュリティへの期待が高まっている。マルチファクター認証が必要不可欠なのはもちろん、一部の銀行やベンダーはゼロトラストセキュリティアーキテクチャの導入も検討している。
•レジリエンスは常に最も重要な設計検討事項だが、(ベンダーとプラットフォームの) ポータビリティの特性もますます重要になっている。
製品のイノベーションとプロセスの改善を目指す銀行は、今後の道筋を決定するにあたり、基盤となるアーキテクチャコンポーネントをより深く検討する必要がある。コーポレートバンキングテクノロジーのトレンドは明らかである。 クラウド、API、マイクロサービスはもはやイノベーションではなく、想定内のものである。企業向けデジタルバンキングプラットフォームとチャネルの最新化を検討している銀行は、今すぐ利用可能というだけでなく、将来的にも銀行を支える新しいアーキテクチャとソリューションの設計を意識する必要がある。本レポートでは、ベンダーの能力に関する調査に加え、大手銀行3行のソリューション・アプローチを紹介し、これらの変革を可能にするテクノロジーの多くを銀行がどのように活用しているかを示している。