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T2S導入後の欧州における取引後処理:資産管理サービスと証券資金決済への影響

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2014/06/19

Abstract


取引後処理のバリューチェーンの中で、Target2Securities(T2S:即時グロス決済システム)プラットフォームが直接対応できない分野は資産管理サービスと証券資金決済の2つになると考えられます。決済がT2Sに移行するのに伴い、金融機関はこの2つの課題への取り組みを進めています。

セレントの最新レポート「T2S導入後の欧州における取引後処理:資産管理サービスと証券資金決済への影響」は、欧州で取引後処理を手がける金融機関がT2S移行後の資産管理サービスと証券資金決済の体制確立に向けて取り組むとみられる様々な戦略について分析しています。

これまでは、各地域の特異性を重視する場合、その市場に特化した各地域のカストディアンに資産管理サービスを委託してきました。金融機関は、T2Sに直接または間接的にアクセスするかどうかにかかわらず、資産管理が義務付けられますが、自社でこれを行うケースは少ないとみられます。各地域のカストディアン、iCSDおよびCSD(一部)は T2Sの導入に備えて組織再編およびイノベーションを進めており、中には資産管理サービス機能を構築しているケースも見られます。資産管理に限定したサービスを提供する金融機関もあるとみられますが、口座管理や直接決済などより多様なモデルを計画しているケースも見受けられます。

各地域のカストディアンは、域内の複数の市場に特化しているのに対し、iCSDは資産管理サービス機能を拡充することでこれに対抗しようとしています。グローバルカストディアンや中央清算機関(CCP)、ブローカーディーラーなどカストディサービスを利用する側は、提供されるサービスの内容がより明確になるまで様子見のスタンスをとっています。

「カストディサービスを利用する金融機関は、サブカストディ・ネットワークの見直しを進めており、今後それらの統合に踏み切る可能性があります。ただし、統合はリスクの集中化につながるため、その範囲は限定されるとみられます。また、地元の金融機関のグローバルカストディ業務を買収したグローバルカストディアンの場合、当該地域の金融機関を提携先に選ぶケースが多くなっています」と、セレント証券グループのアナリストでレポートを共同執筆したアリン・レイは述べています。

証券の資金決済に関しては、T2Sプラットフォーム内に専用の現金口座が設けられ、Target2(T2)のRTGS(即時グロス決済)口座に接続することで資金化が可能になります。一方、銀行はT2Sの自動担保割当機能を利用することも可能です。従って、T2Sプラットフォーム内で DVP 決済を行うか、T2を通じてRTGS決済を行うこともできます。決済、資産管理サービスおよびカストディ業務を切り離す場合、手数料もそれぞれに課されることになります。その結果、これまでエージェントバンクを通じてほぼ手数料ゼロで証券業務の資金調達を行っていた一部の市場参加者が商業銀行を通じて資金調達する場合は、コスト増につながるでしょう。

「商業銀行から資金調達するより中央銀行から資金調達する方が割安であるため、多くの市場参加者は新しく提供される決済および資産管理サービスの内容を比較し、翌日のDVP決済の資金調達コストを軽減しようとしています。とはいえ、中央銀行から資金調達する場合は管理および法務面の負担が大きくなる可能性があるため、全ての金融機関がその方法を選択する訳ではありません。また、担保割当手続き、財務状況、銀行内の全ての業務との関係にも影響を及ぼすとみられます」とシニアアナリストでレポートの共同執筆者であるジョセフィン・ドゥ・シャズルネは指摘しています。

今回の調査は、セレントがSWIFTと共同で進めているT2Sの進展状況に関する調査の一環として行われたものです。調査では、欧州の取引後処理サービスを手がける複数の分野のプロバイダーとその顧客を含む17の主な市場参加者への取材から多くの有益な情報を入手することができました。取材対象の内訳は、グローバルカストディアンが4社、地域のカストディアンが4社、サブカストディアンが2社、iCSDが2つ、CSDと地方のCCPがそれぞれ1つ、ブローカーディーラーが3社となっています。

レポートでは、T2Sが決済以外に及ぼす影響と、資産管理サービスおよび証券決済機能にとってどのような意味を持つのかについて考察しています。また、T2Sの導入後にどのような資産管理サービス機能が提供されるのか、どの市場参加者がそれを提供するのか、どのようなモデルが使われるのかを予測しています。同様に、証券の資金決済機能はどのように進化するのか、何が決済制度をめぐる金融機関の戦略を左右するのかについても議論しています。