セレントは、保険会社IT部門の幹部を対象とした年次調査を実施しました。今回で3回目となる恒例の調査です。その結果、2006年のIT投資の見通しは明るく、予算の小幅増が見込まれると同時に、社内データの質に対する新たな関心が高まっている状況が明らかになりました。

セレントは2005年秋に米保険会社IT部門の幹部を対象に、優先課題、投資行動、プロジェクト、インフラのトレンドを調査しました。調査結果をまとめたレポート「2006年CIO/CTO調査：IT投資におけるプレッシャー、プライオリティ、プロジェクト、プラン」では、昨年の調査との相違点よりも共通点の方が多く見られます。「全体的には2006年も、2005年と同様のトレンドが続く見通しです。保険会社は業績拡大に注力しており、重要なコアシステムを更新し、柔軟性が高く入手し易い価格帯のアーキテクチャやリソース戦略を取り入れています。そして、これらはすべてビジネスサイドによる厳しい監視の下で実施されています」とコメントするのは、セレント保険プラクティスのマネジャーでレポートの主任執筆者でもあるマシュー・ジョセフォウィッツです。

レポートによると、今回の調査結果で注目される点は、社内データプロジェクトに対する認知度と関心が高まっていることです。セレントが、「データマスタリー」と名付けた分野です。「保険会社は、自らのデータ管理が収益性、有効性、コンプライアンスを確実にする唯一の方法であることを実感しています」とジョセフォウィッツは指摘しています。

昨年の調査では回答者の大半がベンダー市場に対して否定的な見方をしていたのに対して、今回保険会社幹部の間では、十分な機能を備えたソリューションがベンダー市場で入手できると認める傾向にあります。また、大手保険会社にはベスト・オブ・ブリードのコンポーネントを組み合わせる傾向が依然としてありますが、多くの中小保険会社がエンド・ツー・エンドのソリューションを選んでいます。

全般に、新規プロジェクト予算は、コアシステム、販売/eビジネス、コンプライアンス/セキュリティ、データマスタリーなどに引き続き振り向けられています。電子署名、VoIP、ワイアレスのようなその他の分野は、多くの保険会社にとって、2006年に向けた検討事項です。

ITアウトソーシングの利用は着実に拡大傾向を続けており、大手ではIT予算総額の17％、中堅では11％をアウトソーシング費用が占めています。また、システム機能をメインフレームからWindowsやLinuxに移行する保険会社が続く中、今回の調査でも低コストのプラットフォームへのシフトの継続状況がうかがえました。サービス・オリエンテッド・アーキテクチャ（SOA）、ウェブサービス、ACORD XMLの採用も引き続き顕著です。

今回の調査では、新たに①業務継続計画（迅速な復旧用システムよりもテープへの過度の依存がうかがえる）、②コンプライアンスおよびセキュリティ（サーベンス・オクスリー法をはじめ、プライバシー、ウイルス、パッチ管理に対する関心が示された）、③人員の配置と採用（多くの中小保険会社にとっては所在地がネックとなっている）についても調査しています。

レポートは、保険会社のIT幹部26名から得た回答をもとに作成されています。ほとんどの回答者がCIOクラスであり、すべての調査対象保険会社が年間保険料収入で1億米ドルを上回っています。

レポートは全52ページから成り、回答内容をまとめた40の図表を掲載しています。