プライムレートの高止まりや貸付市場の冷え込みを背景に、米国の銀行にとって預金コスト、預金維持、預貸利ざやが今年の最大の戦略的課題になっている。各行とも預金保持のためのコストが増し、利益を圧迫しかねないとの懸念を示している。
セレントは、最大手の米銀7行が公表した2024年1-3月期決算と業績見通しを分析し、各行がデジタルによる顧客エンゲージメントと、預金コスト、預金維持、その他のリテールバンキング部門の決算収支をどのように関連づけているかを調べた。
これら7行の多くが、デジタル顧客エンゲージメントがもたらすメリットは預金維持の原動力になると回答しており、一部は預金コスト軽減の要因になるとしている。もう1つの原動力として、やや力強さは劣るとしながら、周到なブランチエンゲージメント戦略を挙げた。
デジタルバンキングでリードする全ての銀行が預金獲得競争で勝つためには、より包括的なデジタルエンゲージメント戦略の策定、エンゲージメントが決算収支に及ぼす影響の追跡、最終的な収益の明示に取り組むべきだろう。
セレントは、各行が1-3月期決算について公表したコメントを下表に示す3つの視点から分析し、各行がどこに焦点を当てているのか、デジタル顧客エンゲージメントの強化が最終的な収益にどのように結びついたのかを探ろうとした。
| 視点 | 考察ポイント |
デジタル/人的エンゲージメントのアプローチ | 独自のデジタルエクスペリエンスを目指す上で、「社内開発」または「フィンテック企業との提携」のいずれの戦略をとっているのか。どの顧客中心商品にビジネス機会を見出しているか。人的サポートでデジタルを補完しているか。 |
| デジタルエンゲージメントのメトリクス | デジタルエンゲージメントの数値化や成長推移の図表化を行っているか。デジタルチャネル独自の、または他のチャネルと関連づけた顧客エンゲージメントの定性的指標はあるか。 |
| デジタルエンゲージメントが フランチャイズにもたらす価値 | デジタルエンゲージメント/機能と決算収支をどのように関連づけているか。投資利益率をどのように図表化しているか。 |
