ニューヨーク証券取引所における電子発注システム（EOB）の市場シェアは、2010年のレポートで調査した際の51%から大幅に上昇して56%になりました。一方、前回調査でシェアを伸ばしたスペシャリストとDMMはその勢いが続かず、シェアはそれぞれ34%と31%に低下しました。マーケットメーカーのシェアは11%でした。

セレントの最新レポート「ニューヨーク証券取引所の注文執行クオリティ」は、2010年12月1日から2011年2月28日までに執行された210億件を超える売買注文の内容を分析しています。レポートを執筆した証券グループのシニアアナリストのアンシュマン・ジャスワルは、売買注文の執行スピードと約定価格に基づいて計155の市場参加者を評価・ランク付けしました。

マーケットメーカーのうち執行スピードと約定価格の改善の両方で高い実績を上げているとみられるのはBATS ExchangeとナスダックMCの2つです。 その他のマーケットセンターは、2つのうちいずれかが改善すると片方が悪化するという問題を抱えています。従って、 NYSE Arca、EDGAおよびEDGXのように約定価格の改善で実績を上げているか、BATS Y-ExchangeやGetco Securitiesのように執行スピードに優れているかのいずれかに分かれています。

表1は、ニューヨーク証券取引所の上場銘柄を売買するマーケットセンターの総合ランキングを示しています。約定価格ではBNY ConvergEx、LeveL ATSおよびEDGAが、注文執行スピードではBATS Y-Exchange、ゴールドマン・サックス、NSXがそれぞれ上位にランクされています。

主要EOBの中では、LeveL ATS、EDGA ExchangeおよびNYSE Arcaが約定価格の改善で高い実績を上げている一方、BATS Y-Exchange、BATS ExchangeおよびEDGA Exchangeは執行スピードに優れています。これらを総合すると、EDGAとEDGXが上位にランクされています。

マーケットメーカーでは、Citadel Derivatives、ATDおよびUBS証券が調査対象の中で最も優れた約定価格の改善を見せました。執行スピードでは、Knight Capital、Citadel DerivativesおよびATDが最高の実績を上げました。約定価格と執行スピードを総合すると、Citadel DerivativesとATDが最も上位にランクされました。

スペシャリストとDMMの中では、Getco Securities、BofA SpecialistおよびBarclays Specialistsが約定価格の改善で上位にランクされました。一方、Getco Securities、Goldman Sachs Exchange & ClearingおよびBofA Specialistは執行スピードで上位となっています。両方とも上位にランクされたのはGetco SecuritiesとBofA Specialistでした。

出典：セレントによる分析