セレントは、デジタルウォレットの急増と発展、そして世界中のほとんどの市場において主流の決済手段となる様子を見守ってきた。地域によってスタンスは異なるものの、銀行は、基本的にデジタルウォレット分野に積極的に参入している。しかし、セレントは、最近の市場の動きから見て、銀行がデジタルウォレット戦略を見直すべき時だと考えている。
このレポートでは、多様なデジタルウォレットを見ながら、業界の発展と銀行への影響について考察する。
- AppleのNFC非接触決済機能開放
- カード決済における顧客体験を効率化する新たなツール(例えば、ワンクリック決済やモバイル決済「Paze」などの迅速な決済処理ツール)の登場
- ネットワークにVisa Flexible CredentialとMastercard One Credentialを導入することで、顧客のカード決済の引き落とし先選択肢を拡大
- 欧州決済イニシアチブ(EPI)が開始したWeroから、欧州における「国内リーダー企業」による個人間(P2P)決済を広げた国境を越えての決済ネットワークに至るまで、EC分野における口座(A2A)決済の普及 -世界中の(新興市場を含む)非銀行系ウォレットの利便性と相互 接続性の向上
- デジタル資産(中でもステーブルコインとデジタルユーロ)に対する関心の高まり
- 欧州全域におけるデジタル身分証の導入計画
- AIエージェントによる顧客の買い物体験の変化に伴う高い信頼性のデジタル決済とインフラに対する需要の高まり
銀行は、このような多くの変化を反映し、現在だけでなく将来においても適切に機能するデジタルウォレット戦略を確立し実践することが大切である。

