英国のリテール向けオンライン証券会社：市場規模とデジタル戦略

金融危機以降、英国では自立志向型投資家向けの証券市場が進化し続けています。透明性の向上、競争力のある価格設定、自らの投資ポートフォリオに対する管理能力の強化、マルチチャネルでのアカウントアクセス機能等、オンライン証券会社に対する投資家のニーズが増え続ける一方で、規制当局は投資家保護の観点から規制を強化しています。

ここ数年、市場環境は不安定かつ厳しい状況にあるにもかかわらず、自立志向型投資家をターゲットとした市場は安定した成長を見せています。リテール投資家向けにサービスを提供するオンライン証券会社は、既存顧客の確保及び新規顧客の拡大に向けて、トレーディング機能の拡充やプラットフォームの強化、マルチチャネルでのアカウントアクセス機能の提供、資産クラス別ラインアップの充実、革新的なテクノロジーを採用したツールとソリューションの開発に取り組み、カスタマーエクスペリエンスの継続的な向上を目指しています。

英国の証券市場は、内外からの新規市場参入者に加え、オンラインでの投資アドバイスやソーシャルトレーディングサービスを提供する企業（いわゆる、digital disruptor：デジタル化により破壊的な影響力を及ぼす新興企業） の出現により、ますます細分化しています。これらの新たなタイプの証券会社が市場でシェアを拡大し、伝統的な証券会社を脅かす存在となっています。

本レポートでは、自立志向型のリテール投資家向けにサービスを提供する企業がどのようなデジタル戦略を展開しているかに着目しつつ、英国のオンラインリテール証券市場の全体像について以下のような観点から分析します。

• 取引顧客タイプ別に証券会社を分類
• 業界の最新動向及びトレンドを特定
• リテール投資家の商品選択における傾向を分類
• 各顧客投資家グループの内訳を分析
• 現在及び将来の自立指向型投資家人口と次世代の投資家人口から将来のリテール投資家市場規模を予測
• 主要な市場プレーヤーや企業タイプを特定
• オンライン/ソーシャル/モバイルチャネルでのサービス提供等、企業のデジタル戦略動向を紹介
• オンライン証券業界の今後の展望、タイプ別リテール投資家数の推移、オンライン証券各社の差別化戦略について予測

「オンライン証券会社が、既存のターゲット顧客層に加えて次世代投資家を獲得・維持するには、堅牢なデジタル戦略を策定する必要があります。インターネット、投資情報、投資学習サイト、ソーシャルメディア・サービス、、スマートフォンの普及拡大がオンライン証券会社に対する顧客の期待を変えつつあります。この細分化した市場で証券会社がビジネスを展開していくには、オンライントレーディングプラットフォームやモバイル用アプリ、ソーシャルメディアのプレゼンスの強化が重要な鍵となるでしょう。伝統的な証券会社でも、ソーシャル機能の導入に加え、DIY（自己判断/自立志向）型投資と従来型投資（アドバイザー主導型）を組み合わせたハイブリッドサービスを提供し始めています。」とセレントのウェルスマネジメントグループのアナリストでレポートを執筆したアシュレイ・グローバーマンは述べています。