本レポートでは、セレントのバンキングリサーチとウェルスマネジメントリサーチを統合し、銀行に預金を保有する家計へのサービス向上を支えるテクノロジーの状況について説明する。全体的な目標は、預金口座がなくても顧客との関係を維持することである。
高金利が長期化する中、消費者が証券会社や投資サービスプロバイダーに預金を移す動きが続いている。これらのプラットフォームは、資金移動、カード管理、請求書決済といったデジタルバンキング機能をほぼ完璧に備えているほか、より優れたキャッシュマネジメントオプションへのアクセスも提供している。現在、証券会社やウェルスマネジメントのサービスは、新しいテクノロジー、サービスの拡大、広範なマーケティングリーチを通じて、より幅広いリテール顧客に提供されている。
こうしたトレンドに多くの銀行が対応できていない。リテールバンクでは、デジタルバンキングとウェルスマネジメント戦略/投資サービス戦略との連携の水準が低いことから、バンキングエクスペリエンスと投資エクスペリエンスが分断されており、将来的な機会が失われている。さらに、セレントが最近発表したレポート「2023年リテールバンキングにおけるITの戦略と優先事項」によると、バンキング戦略とウェルスマネジメント戦略の統合は来年のIT支出における最優先事項になっていない。
今回のレポートでは、銀行が優位性を維持するための3つのテクノロジーオプションを紹介する。具体的には、まったく新しい概念であるウェルス・アズ・ア・サービス (WaaS) の提供、投資サービスプロバイダーとの既存のパートナーシップの合理化、テクノロジーを活用した潜在顧客発掘のための社内RIA (登録投資アドバイザー) プログラムの最適化の3つである。
セレントは、銀行の現在の状況によって推奨事項を分類した。
本レポートの入門的な情報として、いくつかのデジタル証券会社はデジタルバンキングのサービスを大幅に拡大させており、現在は基本的な取引、資金移動、バンキング商品の提供において大半の銀行に匹敵するレベルに達している点を挙げておきたい。