B2B電子決済拡大への追い風
Abstract
B2B(企業間)取引における小切手の優位性は、やがて終焉を迎えるのでしょうか。今後は電子決済が優勢に転じ、2010年にはB2B取引全体の58%を電子決済が占めると、セレントは予測しています。
現在、B2B取引では小切手決済が圧倒的多数を占める状況にありますが、そうした小切手の優位性もやがては終わる見通しです。今後は、ビジネス上、技術上および規制上の様々なトレンドが電子決済の採用を促していくことになるでしょう。また、銀行、サードパーティのソリューションプロバイダー、企業の経済的利害が一致し、需要と供給を巡る因果関係のジレンマを克服すると見られます。
銀行業界以外の勢力やプレーヤーとの連携や競争も、電子決済の採用を促す要因の一つです。銀行が意のままに決済システムを形成する時代は終わったと言えるでしょう。次世代の決済システムは、企業のニーズを踏まえて構築されると同時に、テクノロジープロバイダーの意向を反映するものとなるはずです。また、決済メッセージ標準の開発と導入、経済的利益の調整が実現すれば、電子決済にとって強力な追い風となるでしょう。標準が設定されれば、競争力に勝る勢力が主導権を握り、標準に則って付加価値のある商品やサービスを提供するものと見られます。
セレント銀行グループのマネージャーで今回のレポートを執筆したアレンカ・グリリッシュは、「現在のB2B決済プロセスは、理想にはほど遠い状況にあります。ほとんどの中・大規模企業では、決済指図の発信プロセスだけが自動化されているにすぎません。しかも、企業が独自開発したインフラを使っているケースが多いため、このプロセスでさえ、標準化されたオープンシステムを主体とする理想的な環境と比べると効率性やコストの面で見劣りしています」とコメントしています。ただし、明るい見通しもあり、グリリッシュは次のように付け加えています。「銀行、企業、サードパーティのIT企業は、標準設定や経理・決済システムの統合に向けて今後足並みを揃えていくでしょう。」
本レポートは、20の図と3つの表を含む全42ページで構成されています。