セレントの最新レポートは、証券会社による取引のインターナライゼーションが注文執行の質に与える影響を検証し、米国の大手証券会社を顧客取引における注文執行の質という見地からランクキングしています。
証券会社が顧客の売買注文に対して自己保有株式で取引を成立させるインターナライゼーションが広まっていますが、こうした動きに対する疑問の声も上がっています。証券会社自身が顧客の取引相手となるこのような取引では、公開市場での注文執行の機会が奪われることになり、利害の対立が発生する可能性を含んでいます。しかし、セレントの分析では、米国の大手証券会社はこうした利害の対立を巧く抑えることに成功しているとの結果が得られました。また、このレポート「インターナライゼーションと注文執行の質:米大手証券ランクキング」では、取引のインターナライゼーションがどの程度まで進展しているのか、またこれが注文執行の質にどのような影響を与えているのかという点についても検証しています。
レポートでは、米国大手証券16社(AGエドワーズ、ベア・スターンズ、バンク・オブ・アメリカ、チャールズ・シュワブ、シティグループ、CSFB、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、モルガン・スタンレー、NFS(フィデリティ)、プルデンシャル、TDウォーターハウス、UBS、ワコビア)の注文執行の質を詳しく分析しています。
注文執行の質を測る基準としては、執行のスピード、約定価格など幾つかを設定しました。レポートで使用したデータは2004年第2四半期の実績値に基づいています。下表は、上記16社のうち約定価格と執行スピードの各項目と総合力でそれぞれトップ3にランクされた証券会社を示しています。
順位 | 約定価格 | 執行スピード | 総合 |
1 | UBS | モルガン・スタンレー | シティグループ |
2 | ベア・スターンズ | NFS(フィデリティ) | NFS(フィデリティ) |
3 | シティグループ | チャールズ・シュワブ | ゴールドマン・サックス |
出所: セレント・コミュニケーションズ |
セレントのCEOで本レポートの著者でもあるオクタビオ・マレンジは、「証券取引委員会はここにきて、投資家の株式売買注文を扱う証券会社にとって、最良価格で注文を執行することを最優先課題として徹底させる姿勢を打ち出しています。これは正しい方向への第一歩であり、必要不可欠な動きといえます。顧客の売買注文は、しばしば公開市場に比べて見劣りする価格で執行されています。実際に、今年第2四半期の実績をみると、株取引全体の5分の1弱は市場取引における最良価格よりも不利な価格で約定されていることがわかります」と指摘しています。
本レポートは23の図と7つの表を含む全42ページで構成されています。