次世代コーポレートバンキングへのステップ
テクノロジーが加速するコーポレートバンキングの進化(その3)
コーポレートバンキングは進化のタイミングにある。テクノロジーの先駆者である大手金融機関だけでなく、デジタルの巨人やフィンテックとも効果的に競争するには、コーポレートバンキングは段階的かつ急速な進化を遂げる必要がある。プロダクト・セントリックなアプローチを止め、カストマー・セントリック、つまりワークフローを再考してカスタマージャーニーを改善するアプローチを採用する必要がある。ペーパーベースのプロセスをデジタル化し、直観的な意思決定からデータ分析を最優先に移行するために、顧客に対してより積極的な働きかけをする必要がある。
セレントは新レポート「テクノロジーが加速するコーポレートバンキングの進化:アジア太平洋地域の動向と邦銀への示唆」で、コーポレートバンキングが3つの側面で優れた成果を上げる方法について考察した。
- コーポレートバンキングの成長戦略
- 中小企業(SME)バンキング― アジア太平洋地域の事業機会
- 次世代コーポレートバンキングへのステップ
本稿は、4回シリーズでそのエッセンスを紹介する、第3回である。
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コーポレートバンキングは進化のタイミングにある
テクノロジーの先駆者である大手金融機関だけでなく、デジタルの巨人やフィンテックとも効果的に競争するには、コーポレートバンキングは段階的な進化を遂げる必要がある。プロダクト・セントリックなアプローチを止め、カストマー・セントリック、つまりワークフローを再考してカスタマージャーニーを改善するアプローチを採用する必要がある。ペーパーベースのプロセスをデジタル化し、直観的な意思決定からデータ分析を最優先に移行するために、顧客に対してより積極的な働きかけをする必要がある。
本稿では、コーポレートバンキングが3つの側面で優れた成果を上げる方法について考察した。
- 法人顧客との取引関係をエンドツーエンドで充実させる
- ITを活用して従業員と顧客に一層の力を与える
- パートナーシップ、ベストオブブリード、ポイントソリューションを通じてコーポレートバンキングの組織と戦略を強化する
変革期のコーポレートバンキング
様々な勢力の合流により、コーポレートバンキングの再編が促されている。
コーポレートバンキングの需要側では、企業家、特にその財務部門はますます銀行に依存して、課題を乗り越え、収益機会を掴む支援を期待している。同時に、彼らの期待は高まっており、多くの場合、彼らにサービスを提供するデジタルジャイアントやフィンテックによってその期待水準は設定されるようになった。
大手企業は、グローバリゼーション2.0、ニューエコノミーチャレンジャー、規制の強化、リスクの増加、サイバーセキュリティの脅威など、さまざまな圧力、リスク、機会に直面している。その結果、財務担当者は拡大する役割に直面している。つまり、ますます戦略的かつ技術重視になり、複雑さとリスクの増大に対処し、ヘッジを行い、予測を行い、最終的にはより少ないリソースでより多くのことを実現することが期待されるようになった。
コーポレートバンキングの供給面では、銀行はより強力な関係を構築し、アドバイザーとしての地位を確立し、企業の成長と変化するニーズに対応できるよう、新しい収益源を生み出す絶好の機会に対峙している。しかし、ほとんどの銀行は、企業の動的なニーズとリアルタイムの情報フローの需要に対応する準備ができていない。
従来型の企業顧客は、ほとんどの場合、バッチからリアルタイムへの移行、および紙からデジタルへの移行の過渡期にある。一方で、一部の先鋭的な銀行はデータ駆動型であり、軽快でクラウドベースのインフラストラクチャで、無駄のないニューエコノミー企業のニーズを満たすことに取り組んでいる。
今のところ、ECプラットフォームやフィンテックを含むサードパーティプロバイダーは、大手法人顧客とコーポレートバンキングのギャップを埋めることに関して、その取り組みは初期段階と言える。多くのコーポレートバンキングは、既存の事業者間の競争に明け暮れ、新たな事業者との共創には未着手である。