日本のAPIの進化に対する備え
第7回 東京金融情報&技術サミットを振り返り:Part 2
東京金融情報&技術サミットは、金融機関のIT、データおよび営業担当エグゼクティブが一堂に会する、日本では唯一のイベントである。本年の会議アジェンダは以下の重要テーマを含み、ITおよびデータ管理を担当するエグゼクティブ、ソートリーダーをパネリストに迎え、日本の金融業界の未来を形づくる主要な技術の動向について議論した。
- ビジネス価値を創出し、コスト効率を実現するデータガバナンスフレームワーク
- MiFID IIやFRTBなどのグローバル規制に対応した新たなデータ戦略
- クローズド・インハウスアプローチからオープンで革新的なポストトレード業務モデルへの移行
- 人工知能(AI)の役割とトレーディングに関する予測的な洞察(現状と展望)
- プロセスを自動化し、顧客に付加価値を提供する新興技術の可能性と評価
- APIはコア業務をどのように革新するか?イノベーションの可能性と業界の未来構想
セレントは、2つのパネルディスカッションにおいてモデレーターを務めた。
APIパネル:APIの進化に対する備え
パネリスト:
株式会社じぶん銀行 代表取締役社長 柏木英一 氏
住信SBIネット銀行株式会社FinTech事業企画部長 吉本 憲文 氏
株式会社三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部 シニアデジタルストラテジスト 山崎英 氏
パネルディスカッションの背景:
2017年5月、日本の金融業界は新たな枠組みへの舵を切った。「銀行法等改正法」は、電子決済等代行業(TPPs: Third Party Providers)に対する登録制の導入と、銀行によるTPPsとの連携・協業の方針公表を決定した。銀行におけるオープン・イノベーションの推進に係る措置が、新たな規制として出現した。これは、日本の金融規制を180度覆す大転換となる。
システム上の最大のリスクは、APIという情報システムの新しい通信路を悪用したデータの漏洩・改ざんや不正取引である。また、利用者の口座情報や決済指図にかかるデータが、TPPs を経由して漏洩・改ざん等のリスクにさらされる可能性もある。TPPsのサービス形態とデータ送受信方式におけるリスクと利便性に関しては、日本国内で様々な議論が展開された。その結論が、レガシー認証:スクレイピング方式から、オープンAPI:トークン認証へのシフトであり、日本市場では今後、レガシー認証:スクレイピング方式は排斥される。
パネルディスカッションの論点:
- API活用の進展と新サービスへの期待は?
- APIの効用は?
- IT部門はAPI時代にどのように適応すべきか?
- APIはコア業務をどのように革新するか?イノベーションの可能性