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ケイパビリティと複雑性と予算の関係

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2016/07/24

Abstract

KEY RESEARCH QUESTIONS
1 IT部門の組織は、戦略的な価値にどう貢献しようとしているか?

2

組織の複雑さはIT部門が提供するケイパビリティ(機能)のレベルに影響するか?
3

複雑性、組織およびオペレーティングモデルは保険会社の予算にどのような影響を及ぼすか?

情報テクノロジーの急速な変化、とどまることを知らない顧客ニーズの拡大、販売モデルの急速な進化、引受け・保険金請求業務の抜本的な変化を受け、保険業界は変わりつつあります。IT部門は、新たなケイパビリティ(機能)を提供するためにどう動いているでしょうか。そして、こうした変革に合わせて予算はどのように変化しているのでしょうか。

このような環境下で、IT部門のリーダーは、抑制傾向にある予算の範囲内でビジネスの運営、拡大および変革を進めていくための判断を求められてきました。そして彼らが自社の戦略をリードする役割を自覚し実現しているケースでは、最大の成果が得られています。

経営者の間では、ITの価値の理解と最大活用が不可欠であるとの考えが広がっています。ITの価値に対する評価方法を成果主義に基づく手法に変える保険会社が増えており、価値に基づく指標を採用しているCIOは経営チームの中で、戦略構築において重要な存在として重要視されつつあります。

しかし、これらの課題を解決するためIT部門を大幅増員している保険会社は少数にとどまっています。保険会社のIT予算が保険料収入に占める割合はここ10年以上ほぼ横ばいで推移していますが、新規機能への投資が増えていることもあり、IT予算に占める保守管理費の割合は低下傾向にあります。

今後2~5年は、保険会社が新たなテクノロジーを採用する動きが急速に広がるでしょう。IT価値の評価方法はさらに成熟し、IT価値のパフォーマンス指標は価値ベースのもの(コスト、時間、価値の改善成果を測る)にシフトするでしょう。その結果、限られたIT予算をどの分野に振り向けるか、より多くの情報に基づいて議論できるようになるでしょう。

「多くの保険会社では、IT予算の編成と価値の評価にはいまも従来の手法が用いられています。それは予算を一元的に策定し、ポートフォリオの評価基準をトップダウンで決定するやり方で、IT価値がどの分野に振り向けられているのかわかりにくくなっています。より戦略的なIT部門は、テクノロジーが財務全般に及ぼす影響を測定しようとしています」とセレント保険プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したカーリン・カーナハンは述べています。