大規模が本当に良いのか? 小規模銀行における「CRM Lite」導入の成功例
Abstract
(このレポートは2005年7月26日に"Does Size Really Matter? How "CRM Lite" Deployments Are Helping Smaller Banks"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2007年4月25日に発行しました。)
銀行によるカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)システム導入プロジェクトには、過去に成功例がほとんどありませんが、このような中で、セレントはCRMの将来性を確信しています。
セレントの最新レポートは、コンパクトなCRMシステムの導入を成功させた2つの銀行のケースを検証しています。ここで使われているのは、従来のCRMパッケージに比べて適用範囲が狭く、導入が容易なソリューションで、セレントではこれを「CRM Lite」と呼びます。レポートでは、CRM導入プロジェクトのベストプラクティスも紹介し、さらに導入の成功要因と失敗要因を検証することで、導入成功に向けたロードマップを示しています。
レポートで取り上げた成功例の一つは、グレート・サザン・バンク(本拠地:ミズーリ州、預かり資産:20億米ドル=約2,200億円)の導入例ですが、同行はバンク・オブ・アメリカ、USバンク、リージョンズ・バンクなど大手銀行の進出にもかかわらず地元市場における支配的な地位を維持しています。グレート・サザンのケースは、規模の小さい銀行が、シンプルなCRMソフトウェアを採用することで競争上の優位を確保した一例です。
もう一つの成功例として紹介されているシノバス(本拠地:ジョージア州、預かり資産:250億米ドル=約2兆8,000億円)は、41のコミュニティ・バンクを傘下に持つ持ち株会社です。各コミュニティ・バンクは単独で財務諸表を作成し、独自のCEOを任命するなど、個別の銀行として存在しています。これらのそれぞれ事情の異なる銀行にCRMツールを導入することによって、シノバスは様々な組織上の課題を克服しました。
セレントの銀行プラクティスのシニアアナリストで今回のレポートを執筆したバート・ナーターは、「これまで銀行はCRM導入に裏切られてきました。私たちはこのレポートで、行員、顧客、株主のすべてが満足できる「CRM Lite」の導入を実現させた2つの銀行のケースを検証しています」と述べています。
セレントは今回の調査を通じて、①プランニング(Planning)、②プロセス(Process)、③プログラム(Program)、④パッケージ(Package)、⑤ピープル(People)の「5つのP(要因)」に基づく「CRM Lite」導入プロジェクトのベストプラクティスを定義しました。