この10年間、銀行のフィンテックイノベーションでは、クラウド、API統合、AI/アナリティクス、エンベデッド・ファイナンスによって実現する新しいデジタルマーケットプレイスバンキングの構築が主なビジョンの一つであった。マーケットプレイスバンキングは、金融機関の新たな収益源を生み出すと言われている。しかし、成功したビジネスモデルやベストプラクティスのケーススタディはほとんど出てきていない。

今回のセレント・モデルバンクのケーススタディは、デジタルマーケットプレイスで一般消費者向けに融資取引を行うマーケットプレイスバンキングの成功例として注目されている。LendingClubは、米国初の個人向け融資のデジタルマーケットプレイスバンクである。その成功の裏には、新規融資組成とクローズドな融資マーケットプレイスにおける取引のどちらもサポートする融資アナリティクスとクラウド技術がある。カスタム開発による融資価格設定およびトレーディング技術を備え、また、リテール顧客とローンバイヤー/ 投資家の両方に統合された顧客体験を提供していることで、業界では他に類を見ない。LendingClubのLCX融資マーケットプレイスプラットフォームにより、ローン投資家はLendingClubの個人向け融資を検索、セグメント化、選択、購入、転売することができる。また、ローン投資家らはLendingClubからだけでなく、相互にこうした融資を獲得することもできるようになった。