REPORT
    IT関連リスクの抑制:取締役会の新たな枠組み
    19th March 2015


    情報技術(
    IT)の導入に伴い、大手企業の競争力は再定義されつつあります。どのような業種の企業も、コスト削減や業務の合理化から競争上の優位の確保に至るまで、あらゆる面でITに頼らざるを得なくなっています。

    テクノロジーの急速な変化は、残念ながら新たなリスクももたらしています。そのため、多くの取締役から、取締役会がITリスクの十分な監視機能を果たせていないことを懸念する声が上がっています。

    オリバー・ワイマンとNational Association of Corporate Directors (NACD) が204の企業の取締役を対象に行った最近の調査では、回答者のほぼ全員(99%)が、取締役を務める企業の業務に今後5年間にITが及ぼす影響は非常に大きいと答えており、半数以上(51%)は監督義務を有効に果たすために必要な情報が不足しているとしています。また、取締役会がIT関連の専門知識を十分備えているとはいえず、テクノロジーの急速な進化が効果的なITガバナンスの障害になっていると指摘しています。

    問題は様々なかたちで表れています。オリバー・ワイマンの分析によると、世界のトップ企業500社がITプロジェクトの失敗によって負担している損失の総額は年間140億ドルを超えるとみられます。本レポートは、取締役会のメンバーが以下の4つのIT関連リスクを評価する際の枠組みを提示しています。

    • 競争激化のリスク
    • ポートフォリオ・リスク
    • 執行リスク
    • サービスおよびセキュリティ・リスク

    取締役会が的確な指導とIT関連リスクに関する情報を提供している企業は、そうでない企業より競争優位に立つことができるでしょう。取締役会のメンバーが共通の枠組みを用いることで、自社のポジションを判断する際の共通の視点と、自社と株主の利益につながる行動を促すための堅固な基盤を確立することができます。

    オリバー・ワイマンのグローバルリスクセンターについて

    グローバルリスクセンターはオリバー・ワイマンのリサーチ機関として、産業、政府および社会を変化させ、また複雑化するリスクの分析を専門的に行っています。同センターは、リスク管理に対するオリバー・ワイマンの緻密な分析アプローチとリサーチパートナーの先進的な考え方を融合した研究と洞察を通じて、経営幹部によるリスク管理をサポートしています。

    National Association of Corporate Directorsについて

    NACDには10,000を超えるメンバーが加入しています。取締役主導の教育や競合フォーラムを通じて、より効果的かつ効率的な取締役会の形成に取り組み、30年以上にわたる基礎調査をもとに優れたアイデアや方法の共有化を図っています。