非接触型テクノロジーと決済新時代の幕開け
Abstract
セレントの見解では、昨年導入数でもほぼ倍増を記録した非接触型デバイスは、2011年には主要決済市場の15%を占める見通しです。
数年間にわたる検証の後、現在、多くの金融機関が非接触型決済デバイスを全国の顧客を対象に本格的に提供しています。2002年7月、アメリカン・エクスプレスが最初の試験採用に踏み切って、以来3年が経ちました。今日では、バンク・オブ・アメリカ、チェース、シティバンク、キーバンク、ウェルス・ファーゴのような銀行が非接触型デバイスを発行しています。現在、非接触型決済に対応可能な加盟店舗数が全米で30,000箇所を超え、1,300万枚以上の非接触型デバイス(主にカード)が消費者の手にあることから、今年が関連業界にとって躍進の年となることがわかります。セレントの最新レポート「非接触型テクノロジーと決済新時代の幕開け」においても、昨年の同デバイス数が前年度に比べほぼ倍増したことを報告しています。
しかしながら、取り組みは始まったばかりです。非接触型デバイスの普及を実現するにはなお多くのハードルをクリアしなければなりません。標準的な消費者は、最新テクノロジーに戸惑ったり、セキュリティ上の懸念を抱くかも知れません。加盟店側にとっても、非接触型決済を採用するには、そのメリットを確信する必要があります。さらに、他業界における類似テクノロジーの急速な普及が、両刃の剣でもあります。幅広い普及で身近な存在になったことによって、非接触型決済の基本的な理解を人々に促す一方、両者の比較に混乱して悩まされるケースもあるでしょう。
「こうした障害や、最近スマートカードを巡るプロジェクトが相次いで頓挫していることを踏まえて、多くの銀行は非接触型決済に対して慎重なアプローチを採っています」と語るのはセレントのシニアアナリストで本レポートの執筆者であるアリアナ・ミシェル・ムーアです。「また、カード発行会社の間には躊躇が見られ、導入に踏み切った社にしても、限定的な取り組みにとどめています。」
レポートでは、非接触型テクノロジーのメリットは市場に認知されて行くだろうと見ています。非接触テクノロジーは、信頼性・柔軟性共に高い次世代テクノロジーであり、また、新たなインターチェンジフィーの機会を追求するカード発行会社に道を開く力もあります。電子決済市場の動向や非接触型テクノロジーの発展状況に基づく、セレントの予測では、2011年には非接触型決済が決済市場の15%のシェアを占める見通しです。その成長の多くは、発行会社が消費者にクレジットやデビット口座への新規登録を求めることよりも、むしろ既存のカードに非接触型機能を搭載する方式を取る可能性が高い点に起因しています。
本レポートでは、非接触型決済の最近の進捗状況だけでなく、こうしたプロジェクトが直面するビジネス機会と課題についても取上げています。セレントは、非接触型決済のビジネス機会を定量化し、その機会が市場参加者にもたらす多くのメリットを検証しています。また、業界内のベストプラクティスとセレントによる今後の見通しもまとめました。
本レポートは5図と6表を含む全29ページで構成されています。