保険業界におけるレガシーからの変革：地域による違い【抄訳版】

(このレポートは2014年10月17日に"Legacy Transformation in Insurance: Differences Across Continents" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2015年1月6日に発行しました。）

保険会社が今後5～7年間で成功するか失敗するかを占うカギとなるのは、代理店や顧客に提供するサービスエクスペリエンスを刷新する能力です。現行のレガシーシステムを背負いながら、どのように事業を運営していくかではなく、この重荷をどう解消し、事業をどう戦略目標に近づけるかを考えることが必要です。すなわち、レガシーを取り除くべきかどうかはもはや論点ではなく、いつ取り除くかが問題なのです。

本レポートでは、アジア太平洋、欧州・中東・アフリカ、中南米、および北米における、レガシー＆エコシステムマイグレーションへの取り組み、投資に焦点を当て、各地域にみられる相違を分析しています。

レガシーからの変革は、各保険会社が長年取り組んできたテーマです。なかには、40年以上も前のシステムを使い続けている保険会社もあるそうです。レガシーシステムは維持費が高く、柔軟性に欠け、変更を加えることが困難で、今日の消費者のニーズに対応しづらく、社内外のエコシステムとはポイント接続となっており、新商品を市場に導入し、新たなチャネルや市場の開拓を行うに当たって新戦略の成功を阻む最大の要因となります。こうした状況に対応するため、保険会社は自社システムの変革や刷新に取り組んできました。

本レポートでは、各地域の保険会社CIOを対象とした調査結果を基に、保険業界がレガシーからの変革にどう取り組んでいるのか、そしてどのような選択肢が検討されているかについて考察しています。その内容として、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、SasS、IaaSなども取り上げています。



セレントの保険グループのアナリストのカレン・モンクスは「世界中の保険会社が、レガシーからの変革を目指して努力しています。その方法は、地域によって異なっていますが、テーマは共通しています」と述べています。

セレントの保険グループのシニア・アナリストで共著者であるニコラス・ミシェロッドは「現行システムの拡張 vs 最新システムへの完全移行 という二つの手法にはそれぞれ利点があり、だからこそ、この2つが現在主流となっています。実現には多額の出費が伴うため、少しずつ改善を行うほうがいいとの考えも理解できます」と述べています。