個人向け金融機関の間では、顧客エンゲージメントは単にビジネスとして優れているだけでなく、銀行が顧客に価値を提供するための手段として重要性が高まっているとの認識が広まりつつある。巧くいけば、各顧客とのやり取りを通じて顧客の思い描く銀行との関係の価値を強固にすることができる。金融機関は、個別の顧客のニーズと要望に基づく多様なバリュードライバーに基づいて十分に考え抜かれたエンゲージメント機会を積極的に生み出すことで、顧客を感動させることができる。各々の顧客のニーズ・要望は、ファイナンシャル・ウェルネス(経済的な健全性)や高いセキュリティ意識への対応であったり、初めての住宅購入に必要な頭金の貯蓄、二酸化炭素排出量の削減であるかもしれない。
昨今のインフレ率の急上昇やAIによる意思決定機能の進歩が後押しするかたちで、ファイナンシャル・ウェルネスが積極的な顧客エンゲージメントのユースケースとなる事例が増えている。セレントのみるところ、AIがリテールバンキングにもたらした重要な成果は、各顧客の経済的レジリエンシーを積極的に向上させる機能を提供したことだろう。現存する全ての銀行や信用組合にとって、顧客のフィナンシャル・ウェルネスの向上をサポートすることが価値提案の中核となるべきだったが、銀行がこの分野に注目するようになったのはここ数年のことである。ほとんどの銀行は、これを実現するためにベンダーが事前に構築したモデルを採用している。
既存顧客の経済的レジリエンシーの向上を重視する金融機関にとって、ベンダーソリューションの選択肢は豊富にある。このSolutionScapeではソリューションの機能を詳しく説明し、ベンダーを比較する。