テレマティクスの業界地図

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25 December 2015
Eiichiro Yanagawa

先日、北米のITサービスベンダーとのアナリストアクセス(AA)の機会に恵まれた。セレントには、リサーチ顧客とのAAサービス(電話会議)があり、世界中のお客様から様々なお問い合わせを頂く。アナリスト自身が執筆したセレントレポートに対するQ&Aが中心だが、時には、そのサービスの枠組みを超えた気づきや知見に遭遇する。

Verisk Insurance Solutions社の提供するVerisk telematics data exchangeサービス、GMの実績は有望である。特に、今後は「クレジットカードのクレジット履歴」のように、「運転履歴に関するサービスビューロー」「テレマティクスのデータプロバイダー」を目指すとの方向性に、卓越した先見性を感じた。同社は既に、日系も含む多くの自動車メーカーにアウトリーチ中で、GMパターンのグローバル展開を目論む。

Verisk

そこでの示唆は、以下の3点であった。

  • これまでのテレマティクス提案では、自動車メーカーは全てのレイヤーを自前で実現する前提だったが、既に、データサービス、データ分析のレイヤーは、自動車メーカーから分離している。
  • 多くの自動車メーカーは、自社ブランドに閉じたクローズド・ループによる付加価値実現を主眼としたが、既に、テレマやIoTのテクノロジー自体は、クルマに依存しないもの(運転履歴レコードに付加価値はシフト)となりつつある。
  • グローバルなテレマティクス(及びテレマティクス保険)業界地図は、①データを発信する、②データを蓄積、分析、販売する、③データを活用する、3階層で出来上がりつつある。①は自動車メーカーから分離(GMやトヨタの固有技術ではない)、②はクラウドベンダー、データアナリティクスベンダー、公的機関の競争と共創、そして③は、保険会社(損保:自動車保険、生保:医療保険)であるが、伝統的な事業者よりも、エマージングなフィンテック企業が先行するであろう。

一方で、日本の産業界には、強い行政イニシアチブと堅牢な業界構造が存在する。これまでは常に、消費者保護を前提とした新たな法規制と既存の業界秩序との整合が優先した。保険料収入に見る市場集中度は、生命保険では、上位5社で61%、上位20社で94%、損害保険では、上位5社で82%、上位20社で99%と、極めて高い。この寡占状況が、イノベーションの妨げであってはならない。

また、ITサービスベンダーの目線の違いも痛感する。ソリューションは、ユーザ顧客の痛みを緩和する対症療法のみではない。エマージングなテクノロジーによる、新たな市場価値を創造し、新たな需要を喚起したい。原因療法や自然治癒力を高める、需要創造型の提案が待望される。「何故、保険業界では、リスクの計測に結びつくデータ(運転履歴情報や健康管理情報)が活用されていないのか?銀行業界、クレジット産業では、個人や法人の信用情報は、与信判定に不可欠な情報として広く普及しているのに。」(Verisk Insurance Solutions社)そして、APIエコノミーは、その活用を加速する。一番肝心なことは、こうした「地殻変動」を起こそうという意欲かもしれない。

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Content Type
Blogs
Location
Asia-Pacific