決済インフラを巡る情勢の変化と日本の対応

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11 March 2020
Eiichiro Yanagawa

「決済インフラ」シリーズ パート3 ― ホールセールペイメント編のハイライト(その2)

本レポートシリーズは、セレントのペイメントタクソノミーに基づき、A) 決済手段とチャネル、B) 法人決済:主に銀行から(金融法人を含む)法人顧客に提供される決済サービス(ホールセール決済サービス、大口決済サービス)、C) 個人決済:主として銀行から(小売店を含む)個人顧客に提供される決済サービス(リテール決済サービス、小口決済サービス)の動向に言及する。加えて、各種決済サービスの背景、競争条件として、D) 金融市場インフラ(FMI)を捉える。

これまでに、日本の決済インフラの要諦である、全国銀行データ通信システム(全銀システム)をPart 1で、日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)をPart 2で考察した。

本Part 3では、B) 法人決済、すなわち大口決済、ホールセールペイメントに注目し、決済インフラの高度化、新たな技術の隆盛とサービス事業者の出現、そこでの新たな価値とリスクの連鎖を把握し、決済サービスの高度化やディスラプティブな決済サービスの創出において考慮すべきグローバルトレンドと、日本市場の現状、今後の取り組みについて言及する。

また、続くPart 4では、A) 決済手段とチャネルの多様化の進展、C) 個人顧客に提供される決済サービス(リテール決済サービス、小口決済サービス)の動向、そこでの組織とテクノロジー利用の動向に言及する。

本稿は、6回シリーズでそのエッセンスを紹介する、第2回である。

***

決済サービスを巡る情勢の変化

グローバルな金融市場において、決済インフラを取り巻く環境は激変した。

  • 全方位でのデジタル化の進展:デジタルでない金融取引は、利用者に歓迎されない。本質的な機能がデジタル化されていない場合、その機能をデジタル化して提供できれば、そのサービスのフロンティアとして先駆者となれるだろう。一方、本質的な機能でない場合は、デジタル化もされず、いずれ消えゆく。
  • ミレニアム世代(デジタルに慣れ親しみ、不便不合理を我慢しない世代)がトレンドを牽引:アラブの春、ウォールストリートや香港の占拠事件によって、その背景に金融包摂が潜むことが明らかになった。
  • 金融リテラシーの進展と中央集権型アーキテクチャの終焉:デジタル化の進展と金融リテラシーの普及は、市場のフラグメンテーション(分断化、分散化)を促進し、中央集権的なアーキテクチャの限界を露呈しつつある。

これにより、金融と決済サービスを巡る情勢は一変した。こうした混沌とした時代における羅針盤の構想には、網羅的なフレームワークが不可欠である。セレントが「ペイメントのタクソノミー(分類)」と呼ぶ決済の分類とフレームワークは、複雑で広範な決済サービスを比較検討する上で共通の土俵となる。

経済と金融サービスのグローバル化が進展する中において、決済サービスは依然として各国の国内に限定したサービスである。市場を支配する決済サービスや決済サービスの提供事業者、競合関係、規制や商慣習は、国と地域ごとに特有であり、フレームワーク無くして、その国際比較やグローバル事業展開の検討は不可能に近い。セレントは、こうしたグローバルな決済サービス事業環境を踏まえ、ペイメントのタクソノミーとバリューチェーンをフレームワークで表現した。

つまり、銀行間決済ネットワークに代表される「金融市場インフラ」のアーキテクチャは、その利用者である、金融機関、企業、個人の金融行動と、それと紐付く商流や経済活動、消費活動、そして生活者のコミュニケーションのスタイルやニーズに依存する。

ペイメントバリューチェーンには、「決済手段のセットアップ」「決済サービスの実施」「決済後サービスの提供」の3つの価値連鎖がある。これまで金融機関のサービス領域は、「決済サービスの実施」(取引・指図・照合、清算、決済の各機能、BIS等の定義における「金融市場インフラ」の機能フロー)に重点が置かれ、「決済手段のセットアップ」(決済手段の開発、決済サービスの利用者、つまり支払人と受取人の勧誘、決済サービスの設定、プロビジョニング、決済に必要となる資金の調達などのプロセスを含む)や、「決済後サービス」(決済サービスの実施に付随する若しくは連動して提供される様々な付加価値サービス)は、その拡充が遅れた。決済のイノベーションは、決済サービス利用者の行動変化に起因し、その価値連鎖に潜むものと考える。

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