2025年、中東・アフリカの銀行業界は変革を続けている。高まる政治や経済の不確実性、増大する競争圧力、複雑化するコンプライアンス要件などを背景に、欧州では、顧客は以前にも増して迅速で低コストのサービスを金融機関に求めるようになっており、金融機関が商品開発や収益・利益率改善のための投資を確保することの緊急性も高まっている。このような要因から、今日の経営環境で生き延びるのに必要なアジャイル性や業務効率性の向上を実現するために、銀行における技術投資は全体的に拡大を見せている。
ニーズや優先事項の違いから、各銀行によって投資計画や予算は異なるが、欧州全体として共通する重要テーマが、金融機関の経営陣を対象に行なったセレントの「2025年版 Dimensions調査」の回答結果から浮き彫りにされた。それは、「レジリエンスと商品開発の向上」で、これが2025年の主要課題であると示された、また、デジタル口座開設、オープンバンキング、デジタルチャネルの広範な強化、デジタルID、そして新規デジタル専用サービスの立ち上げなどに、多くの銀行が力を入れている分野であることも分かった。
この課題に対応するためには、フロントオフィスからミドルオフィスに至るまで多様なユースケースが考えられる生成AIを含めたAIや高度なデータ分析技術の導入拡大が必要である。そして、これら技術の導入は、2024年までのデータ管理に対する投資を基盤として実現されることが多い。また、デジタルチャネルにおける顧客体験の向上を目指す上で、デジタルIDと自動化も注力すべき分野である。そして、クラウドサービスの導入拡大がこれらのプロジェクトを支える鍵となるであろう。
この調査から分かったこと:
- 依然として厳しい事業環境が続く。中東・アフリカ地域全体で、「フィンテックやその他の問題など競争における脅威が増え続けている」と答えた銀行は76%にのぼった。
- 優先度の高い課題は「商品開発」で、中東・アフリカの銀行の49%が、セキュリティ強化とレジリエンス向上への投資に次ぐ位置づけではあるが、商品や提案の強化のための投資は自社の技術戦略における上位3位に入る重要事項であると答えている。
- これを受け、技術予算の増加傾向は強まっている。今回の調査から、銀行における今年のIT支出は平均5.7%増加することが分かった。ただし、世界貿易政策をめぐる変化による経済混乱の可能性を考慮した場合、現時点では、この水準通りに予算増加するか否かは不確かである。
- 今年最も力を入れるべき投資分野としては、「決済」が挙げられている。法人向け銀行業務においては、決済システムの近代化が金融機関の46%にとっての優先事項となっており、個人向け銀行業務においては、カードと決済の革新を優先している銀行が38%となっている。その他、融資とデジタルチャネルの強化が主要投資分野であることも分かった。
- これらの課題に対応するには、AI技術へのさらなる投資が必要となるが、中東・アフリカ地域の銀行の29%が、フロントオフィスからバックオフィスまでの組織全体にわたるユースケースをサポートするAI技術の採用を最大の技術投資分野としている。また、生成AIは組織全体におけるデータ活用拡大を支える重要な要素で、この地域の銀行の48%が2025年までに生成AIを活用した顧客向けサービスの提供を計画している。
