2025年、欧州の銀行業界は変革を続けている。高まる政治や経済の不確実性、増大する競争圧力、複雑化するコンプライアンス要件などを背景に、欧州では、顧客は以前にも増して迅速で低コストのサービスを金融機関に求めるようになっており、金融機関が商品開発や収益・利益率改善のための投資を確保することの緊急性も高まっている。このような要因から、今日の経営環境で生き延びるのに必要なアジャイル性や業務効率性の向上を実現するために、銀行における技術投資は全体的に拡大を見せている。
ニーズや優先事項の違いから、各銀行によって投資計画や予算は異なるが、欧州全体として共通する重要テーマが、金融機関の経営陣を対象に行なったセレントの「2025年版 Dimensions調査」の回答結果から浮き彫りにされた。それは、「レジリエンスと商品開発の向上」で、これが2025年の主要課題であると示された、また、デジタル口座開設、オープンバンキング、デジタルチャネルの広範な強化、デジタルID、そして新規デジタル専用サービスの立ち上げなどに、多くの銀行が力を入れている分野であることも分かった。
この課題に対応するためには、フロントオフィスからミドルオフィスに至るまで多様なユースケースが考えられる生成AIを含めたAIや高度なデータ分析技術の導入拡大が必要である。そして、これら技術の導入は、2024年までのデータ管理に対する投資を基盤として実現されることが多い。また、デジタルチャネルにおける顧客体験の向上を目指す上で、デジタルIDと自動化も注力すべき分野である。そして、クラウドサービスの導入拡大がこれらのプロジェクトを支える鍵となるであろう。
この調査から分かったこと:
- 依然として厳しい事業環境が続く。欧州全体で、「顧客の獲得と維持が12か月前よりも難しくなっている」と答えた銀行は54%にのぼった。
- 重要課題は「商品開発」で、欧州の銀行の50%が、商品や提案の強化のための投資が、自社の技術戦略における上位3位に入る重要事項であると答えている。
- これを受け、技術予算の増加傾向は強まっている。今回の調査から、銀行における今年のIT支出は平均5.0%増加することが分かった。ただし、米国政府の関税政策による経済混乱の可能性を考慮した場合、その水準で本当に予算増加するのか否かは、現時点では不明である。
- 「デジタル口座開設」が今年最も力を入れるべき商品であり、欧州における銀行の38%がこれを優先課題としている。オープンバンキングやオープンファイナンス、およびデジタルチャネルなどの改善も重要課題として挙げられた。
- これらの課題に対応するには、AI技術へのさらなる投資が必要となるが、欧州の銀行の29%が、フロントオフィスからバックオフィスまでの組織全体にわたるユースケースをサポートするAI技術の採用を最大の技術投資分野としている。また、生成AIは組織全体におけるデータ活用拡大を支える重要な要素で、銀行の64%が2025年までに生成AIを活用した顧客向けサービスの提供を計画している。
