モバイル金融サービスに挑む姿勢
2015/09/01
KyongSun Kong
アジアにもフィンテックの熱気が押し寄せてきています。フィンテックを活用した次世代型ビジネスモデルを模索している金融機関も多いことでしょう。6月に日本で金融機関と面談した際にも、先月、韓国でのインターネット専業銀行に関するカンファレンスで登壇した際にも、その熱気を実感しました。 韓国では現在、インターネット専業銀行の設立許可を巡り、議論が交わされています。韓国の人口5100万人に対し、モバイルバンキング(スマホアプリ)利用者は延べ約5000万人。これほどモバイルバンキングが普及している中で、インターネット専業銀行がどのように差別化できるのか、韓国のプレーヤーは頭を抱えています。 実際に、私がカンファレンスで登壇した時に日本のネット銀行の事例をお話しさせて頂いたのですが、発表後に多くの方が私のもとにやってきて、個別のミーティングをお願いしたいと列を成しました。その熱気は3月、登壇したカンファレンスの時よりも、より一層高まっていました。 アジア各国ではスマートフォンの普及に伴い、モバイルバンキングへの関心が高まっています。しかし焦点は既に、モバイルバンキング導入そのものではなく、他行といかに差別化できるのかという点にシフトしています。 アジアのモバイルバンキングの現状と将来性に関するレポートを執筆する際に行ったインタビューでも、モバイルバンキングをもはや必須のチャネルとして認識している銀行が目立ちました。また、増加するサービス内容に比例して、複雑化するユーザーインタフェースを改良すべきだと考える銀行も多いようです。 銀行はセキュリティ関連には敏感である一方、機能の高度化といったIT投資にはさほど積極的ではなく、ユーザーエクスペリエンス向上など、顧客目線を重視した戦略に注視しています。つまりモバイルバンキングの議論の中心は、テクノロジーではなくビジネスモデルであるということです。 銀行にモバイルバンキングの波が押し寄せている中、各チャネルの戦略も変わりつつあります。モバイルバンキングで処理できる部分が増えることで、インターネットバンキング自体の役割は少しずつ縮小されてきており、特にリテール部門ではモバイルバンキングの存在感が増してきています。また、テラーの役割も高度化の道をたどっており、以前よりも専門性を求められるチャネルになりつつあります。 このようにチャネルの変化が目まぐるしい中、銀行は、自らがどのように対応していくべきか、足早に調査・研究していく必要があるでしょう。コメントやご見解など、ぜひお聞かせください。