セレント・イノベーションフォーラム:ブロックチェーン2.0
2015/11/09
John Dwyer
11日のイノベーションフォーラムで講演するため、初めて東京を訪れるのを楽しみにしています。 私のプレゼンテーションで取り上げるトピックをご紹介します。 フィンテックのトレンド 私の講演では、多様な投資家からフィンテックへの資本の流入状況をはじめ、現在の進展状況について解説した上で、中期的にディスラプションがどのように進むか大局的な展望を導き出します。私の専門分野はキャピタルマーケッツなので、B2CではなくB2Bを中心に話を進める予定です。B2B市場はB2Cに比べるとより複雑で、規制が強く、市場規模がはるかに大きいため、イノベーションやディスラプションのレベルは画一的ではなく、また競争も激しいものとなるでしょう。 ブロックチェーン2.0/ 分散型帳簿 後半では、目下注目度が急上昇しているブロックチェーン2.0と分散型帳簿について話します。この分野は変化が速く、いや、速すぎるため、どのテクノロジーをブロックチェーン2.0や分散型帳簿と呼ぶかについてさえ、意見の相違がみられるほどです。このテクノロジーはまだ比較的初期段階にあり、状況が刻々と変化していますので、その中から参加者の皆様に有用なテクノロジーについて紹介したいと思っています。 分散型コンセンサス 分散化とは、トランザクションまたは資産を第三者が承認あるいは保管するにあたり、中央集権的なオーソリティ(権威、中央機関)に依存しなくても済むプロセスです。コンピューター科学の分野では分散型コンセンサスというコンセプトは以前からありましたが、資本市場ではそうではありませんでした。中央機関である証券取引所などを経由してコンセンサスを得る中央集権的アプローチではなく、複数の独立した機関またはノードがトランザクションの正当性を投票で決めることから、分散型コンセンサスと呼ばれています。 許可制の是非 目下の最大の議論は、ブロックチェーンや分散型帳簿を「許可制」にすべきか否かという問題です。許可制にすると、帳簿へのアクセスが管理・規制されます。許可制にしない場合は、(少なくとも理論上は)だれでも帳簿上でトランザクションを行い、帳簿上のトランザクションを閲覧し、トランザクションの正当性を判断するノードになることも可能になります。 スマートコントラクト 最後に、比較的新しいイノベーションであるスマートコントラクトについて話します。スマートコントラクトはビットコインをきっかけに普及したもので、二者間の契約をコードで作成し、それによって金融トランザクションにおけるデータ主体の項目、つまり金額、証拠金計算、金融デリバティブの担保情報といったコンポーネントを自動的に決済したり実行したりすることを可能にするものです。 See you in Tokyo!