マルチチャネルインテグレーションへの ロードマップ
Abstract
(このレポートは2005年1月27日に"A Road Map to Multi-Channel Integration"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2005年6月13日に発行しました。)
マルチチャネル統合はそのアプローチの仕方によって、銀行のITおよび業務分野で年間10~25%程度のコスト削減をもたらすとセレントは見ています。
セレントの最新レポート「マルチチャネルインテグレーションへのロードマップ」は、北米や欧州の銀行による様々なタイプのマルチチャネル統合プロジェクトを分析し、①シングルチャネル、②最適な組み合わせ、③全社レベル、の3つの主戦略について検証しています。こうしたプロジェクトの実施にあたっては、ミドルウェアやエンタープライズ・プラットフォームの採用がまず検討されます。この2つのテクノロジーはマルチチャネル統合を実現する際の主要な選択肢であり、さらにアプローチ手法は「システム購入」かあるいは「自社開発」かの2つに分かれます。
マルチチャネル統合がもたらす恩恵についてはこれまで多くが語られてきましたが、進化を続ける同分野のテクノロジーをサポートする戦略にはほとんど関心が集まっていないのが現状です。レポートでは、北米および欧州の銀行がマルチチャネル統合プロジェクトの実施にあたって採用した戦略について論じています。欧州の銀行は多様な既存システムの統合や既存システムと各チャネルとの統合を重視しています。一方、北米の銀行は、業務部門と協議し、チャネルごとに特有のニーズを掴んだうえで、まず業務の効率化を図ることを優先します。
セレントの銀行プラクティスのアナリストで本レポートを執筆したイザベラ・フォンセカは次のように述べています。「銀行が顧客サービス、商品ライン、販売ネットワークなどの分野で差別化に失敗している決定的な原因は、チャネル統合や内部システム上のデータ統合が図れていない点にあります。このため、多くの銀行は現行のチャネルアーキテクチャをより重視することになり、そこで発生する問題を検証せざるを得ません。」
また、レポートにはインドのHDFC銀行に関するケーススタディも取り上げています。そこでは、同行が多様な地域で展開しているマルチチャネルプロジェクトを紹介するとともに、統合アーキテクチャの構築に成功した同行の綿密な手法を詳述しています。HDFCの戦略は、マルチチャネル統合環境の導入を進めている他の銀行にとっても参考となるでしょう。
本レポートは10図と5表を含む全30ページで構成されています。